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懐かしい人たち　吉行淳之介

週刊誌小説の書き方を講義してくれた柴田錬三郎、暖炉を前に、「いいわね、人間を焼くのに」と言った森茉莉。『モダン日本記者澁澤龍雄』という古い名刺から、若き日の澁澤龍彦を思い出し、川端賞の選考会では蚕豆の好きだった永井龍男の健康を心配する。石川淳、色川武大、内田百〓（けん）、開高健、向田邦子…。柔軟で深遠な眼差しがとらえた懐かしい人のいい話。

目次
井伏さん偲ぶ
石川淳氏との一夜
回想・舟橋聖一
森茉莉さんの葬儀
ふしぎなテープ
柴錬さんの個人講義
色川武大・知って驚く
回想・立原正秋
喧嘩とライター
佐藤春夫との二つの場合
井伏鱒二　舟橋聖一　柴田錬三郎　立原正秋
檀一雄　久生十蘭　田中冬二　志賀直哉
石川淳　森茉莉　色川武大　阿佐田哲也
佐藤春夫　中野好夫　澁澤龍彦　高橋新吉
内田百閒　吉行エイスケ　梅崎春生　永井龍男
和田芳恵　ヘンリー・ミラー　島尾敏雄
梶山季之　向田邦子　開高健　五味康祐
結城信一　川崎長太郎　井上靖　大岡昇平
高見順ほか多数

レビューより
面白い。吉行淳之介を囲む周囲の作家の人間臭い魅力が、平易な文体で伝達される。昭和文学のおさらいとして、若い人々にも有効。必読の書。

本書に登場する人物は、志賀直哉や佐藤春夫、川崎長太郎、島尾敏雄、梶原秀之、柴田錬三郎、色川武大、開高健ら豪華なメンバーである。昭和初期の「ナンセンス文学」作家たちの思い出を語りつつ、最後に井伏鱒二と会った日の描写に進む。戦後文壇の中心にいた吉行淳之介だけに、多くの印象的なエピソードに満ちているー

著者晩年のエッセイ。森茉莉、大岡昇平、舟橋聖一、色川武大、志賀直哉、内田百閒、澁澤龍彦、開高健といった錚々たる文士の名前がずらりと並ぶ。赤線の話がやや多い。文学評論を読んでいると、作家らしい多読家であり、村上龍を芥川賞の選考で強く推薦したのも彼だったということで、随所に文学者らしいところが見える。