
まず、当方でブラジル産という場合は、「旧鉱山のブラジル産」を意味します。新鉱山のブラジル産にも、ごくたまに良いのがありますが、基本的には、サイズが0.1ct前後の極小サイズか、もしくは、色もアフリカ産と大差ないぐらいに薄いです。ただし、旧鉱山産のブラジル産の中にも、「色の濃淡」や「微妙な色調の違い(ブルーがやや強いとか、グリーンがやや強いとか、あるいは、明るく華やかな色調とか、暗く沈み込んだ色調とか)がございます。ひどいのになると、、アフリカ産ぐらいの濃度しかないものや、もしくは、色は濃い青色でも、パライバ本来の蛍光性がなく、陰気なかんじのするものもございます。かつて、ブラジルの宝石集積地ティオフィロオト二に行った時、1ctちょいのものを1つ買い求め、で数万円で売ったこともあります。このレベルになりますと、皆様が思い浮かべているような旧鉱山のブラジル産パライバとは全然別物です。無色透明にほんの少しブルーが入っているぐらいですから・・・・・(笑)。また、20年ぐらい前、関西地方の大きな一般向けの展示会に行ったとき、カラット500万円ぐらいで大事そうにガラスのケースに入れて販売していた青黒いパライバ(自称エイトリータ)がございましたが、陰気な感じが漂っており、「こんなん、パライバと違うやんけ・・・」と思ったこともあります(笑)。
要は、産地の表記をむやみに信頼するのではなく、ちゃんとした「上質なパライバ(上級品のパライバ)」10数個と比較することが重要です。初めて購入する場合、そういう事が出来ませんので、それをお客様の代わりにさせて頂いているのが、「マッサ太郎」でございます。最初に変なパライバをつかんじゃうと、それがその人の基準になってしまいますので、その後、ずっと失敗し続けます。ネットだと、綺麗じゃないパライバの方がきれいに映ってしまいますので写真に騙されやすいですし、実店舗だと希少宝石だけに、比較するパライバがないので、これまた騙されてしまうのです。他の色石と異なり、パライバの場合は、とても高い授業料になってしまいます。今まで、20名前後の方々とお会いし、そのうちの6~7名ぐらいの方は、パライバ発見初期のころからの、かなりヘビーなパライバトルマリンコレクターの方でしたが、ほとんどすべての方が、あまりロクなパライバをお持ちではありませんでした。見れるのは、せいぜい10個に1個ぐらいでした。
さて、本題の「見分け方」ですが、以下の7つの事を頭に入れておけば、大抵大丈夫です。もちろん、例外はありますから、絶対ではありませんが・・・・・。
(1)今現在、タイで売られているパライバで、ブラジルの旧鉱山産を見たことがありません。ですので、タイから仕入れたパライバは、全てアフリカ産か、色の薄いブラジル新鉱山産か、もしくは、ブラジルのパライバ業者が、自国で枯渇しているパライバをアフリカで購入して持ち帰り、ブラジル産と称して販売しているか・・・・・、そのうちのいずれかです。
(2)ブラジル旧鉱山産の場合、1ctを超える事は、大変稀です。ましてや、2ctを超える事は、まず、ありません。ですので、一般的経済力の方が買われる時の目安としては、1ctを超えていたらアフリカ産と思っていただければよいです。1ctを超えるブラジル旧鉱山産も、全く無いという事は無いのですが、ちょっとやそっとでは手が出ない価格になります。よって、「そんなものは無い」と考えて頂いてもよいと思います。
(3)ブラジル旧鉱山産の場合、必ず、内部にインクルージョンがあります。よほどの特級品でなければ、内部がクリーンクリーンであることは考えにくいです。自信のない方は、インクルージョンがある程度含まれているものを選ぶ方が無難です。ただ、インクルージョンはあっても、光がちゃんと通過するレベルのもの(上級品)を選ぶべきです。その方が、「ダイヤモンドダスト系インクルージョンによるキラキラ」と「カットによるキラキラ」の両方を楽しめます。
(4)蜜をねっとりと垂らしたような表面であることも、ブラジル旧鉱山産の特徴です。アフリカ産には、これがまるで無いです。
(5)明るく華やかな雰囲気も、ブラジル旧鉱山産の特徴です。暗いは駄目ですよ、暗いのは・・・・・。
(6)サイズや品質にも依りますが、価格が安過ぎたら、「おかしいなあ?」と思うべきでしょう。これは、パライバに限らず、社会常識です。
(7)ちゃんとしたブラジル旧鉱山産は、銅の値が、少なくとも、1.6~1.7%程度はあります。銅の値が3~4%と高くても綺麗じゃないもの(つまり、陰気で暗い感じのするもの)はありますが、例えば銅の値が1。0%程度のパライバで良い品質のものはありません。画像修正してブラジルの旧鉱山産っぽく見せているだけの「怪しい商品」である可能性が大です。ここで押さえて置いて欲しいポイントは、銅の値が高いからといって、「美しい旧鉱山産のパライバ」とは限らないという事、および、ブラジルの旧鉱山産でまともな品質のものであれば、少なくとも銅の値が、1.6~1.7%は無ければ不自然だという事です。