基本情報|Release Information
グランド・オール・オープリーの残響が刻む、1970年代カントリーの声の交錯
レーベル:RCA / RVC Corporation
品番:RCA-9109-10
フォーマット:2LP(Stereo / Gatefold)
国:Japan
リリース年:1975年
タグ:Country, Southern Rock, Country Rock, 1970s, Live Recording
作品の解読|Decoding the Work
このレコードは、アメリカ南部の声たちがひとつの舞台に立ち上がった「瞬間の記録」である。チャーリー・プライドをホストに迎え、グランド・オール・オープリー・ハウスで繰り広げられたこのライブ・コンピレーションは、単なるテレビ番組の音源ではない。ここには、1970年代アメリカ南部の情念、ユーモア、孤独、そして誇りが、観衆の気配ごと封じ込められている。
冒頭、「Kaw-Liga」や「Mississippi Cotton Picking Delta Town」といったチャーリー・プライドの語りは、単なる演奏というよりも、歴史と血筋に触れるような音の語りかけとして響く。そしてドリー・パートンが「Jolene」で放つ声の揺らぎは、語り手としての彼女の本質を浮き彫りにする。カントリーとは傷を訥々と語る方法であり、愛や裏切りや希望を、強く美しく装う必要がないジャンルなのだと、彼女の歌が教えてくれる。
ロニー・ミルサップによるロックンロール・メドレー(“Slippin’ And Slidin’”〜“Whole Lotta Shakin’ Goin’ On”)は、このアルバムにおける最大の逸脱であり、ジャンルの境界を一時的に失調させる。だがこの逸脱は、むしろこの時代のカントリーが既に「保守的伝統」ではなく、流動する感情とエンターテインメントの交差点にあったことを証明する。音楽的純血性ではなく、観客との応答——その現在性にこそ価値があった。
チェット・アトキンスとジェリー・リードの連弾は、技巧とユーモアの融和であり、彼らがいかに高度な演奏力と遊び心を同居させたかを示している。「The Entertainer」「Colonel Bogey」など選曲の多くは、カントリーという枠組みの外縁をなぞりながらも、どこか「素朴に還る音」の美学に貫かれている。録音がライヴであることを忘れさせるほどクリアで乾いたサウンドは、グランド・オール・オープリーの空間構造とリバーブ設計に由来する。これは観客が“聴いている空間”までも録音されたアルバムである。
最後のトラック「John Henry」で、アトキンスとリードは人力と機械の戦いを描くアメリカ民間伝承を語る。録音の終わりにこの楽曲が置かれることで、このアルバム自体が失われゆく“労働と声”のアーカイブとして閉じられていくようにすら感じられる。
『In Concert With Host Charley Pride』は、ジャンルやスターの顔ぶれ以上に、アメリカ南部における声の制度と連帯の記録として再評価されるべき作品である。カントリーという形式を、単なる郷愁や民族性ではなく、可視化されなかった共同体の方法として捉え直すこと——その一歩が、ここから始まる。
状態詳細|Condition Overview
メディア:NM
スリーブ:VG+
支払と配送|Payment & Shipping
発送:匿名配送(おてがる配送ゆうパック80サイズ)
支払:!かんたん決済(落札後5日以内)
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