22.5×15.4㎝
【題箋】『阿旬殿兵衛實實記 十』
(おしゅんでんべえじつじつき)
【内容】
阿旬と滝口殿兵衛にまつわる話のようである。
Jstag
『曲亭馬琴(巷談もの)における主人公像の変容』中尾和昇氏 という論文から、「あらすじ」らしき部分を抜粋してみた。
『旬殿実実記(しゆんでんじつじつき)』(文化五、六年刊)も、「身替り」を用いることでヒロインお旬の横死を回避させている。歌舞伎「身替お俊」では、園生の前に代わり、お悛が首を打たれるのだが、本作ではお筍が「身替り」となる。
お筍は滝口早苗進の娘。結婚が待ちきれず、許婚の殿兵衛に戯れて「乱行の淫婦」と罵られる。逆恨みしたお笥は、悪臣横淵頑三郎と密通を重ね、共謀して殿兵衛を陥れようと画策。母斧城もこの陰謀に加担する。お筍らが企てた陰謀とは、腰元お旬に命じて殿兵衛とただならぬ関係にあるよう仕向けることであった。殿兵衛・お筍の結婚を期待していた早苗進はこれに激怒し、殿兵衛を勘当する。一方、お旬の偽言に怒った殿兵衛は、頑三郎と密会するお笥を、お旬と思い込んで斬殺してしまう。そこに斧城が現われ、これまでの悪事を殲悔(ざんげ)して自害。
真相を知った早苗進は、死んだお笥の首を打ち落とし、「淫婦お笥が首を刎(は)ね、その竹冠を除去るときは、旬となる。かゝれば今より、このお旬をもてわが女児とせん」と、お笥の首を刎ねることと、「笥」字の竹冠を取れば「旬」字となることが相通じているので、お旬を我が娘とする。
【参考】各巻の表題を一覧してみる。
心猿第一 猿澤池 證句 岩に花猿の物おもふところへ 凉兎
心猿第二 猿田彦 證句 元日や猿に着せたる猿の面 芭蕉
心猿第三 猿腰掛 證句 染殘す松にかくるや猿の尻 羅文
心猿第四 猿滾落 證句 母猿を階子にしてや峯の花 大町
心猿第五 猿小柿 證句 木食の江湖へけり木葉猿 寸楚
心猿第六 猿蔓蘿 證句 初しぐれ猿も小簑をほしげ也 芭蕉
心猿第七 猿釀酒 證句 猿のよる酒屋きはめて櫻かな 其角
心猿第八 猿番塲 證句 元日や夫婦の中に猿の膝 百里
心猿第九 猿股 證句 物着せて猿のすねたる暑哉 朝叟
心猿第十 猿猴橋 證句 膓を塩にさけぶや雪の猿 晋子
心猿第十一 猿股引 證句 猿索は猿の羽織をきぬる哉 芭蕉
心猿第十二 猿猴樂 證句 七猿の仲間に踊る師走かな 冠里
等と、なぜか題名に「心猿」が頭につき、「猿澤池」「猿田彦」「猿股引」など「猿」を含むどこかで聞いた文言がそれに続く。そして「證句」として「猿」を含む「五・七・五」が後に続く。
特に「心猿第六」には「初しぐれ猿も小簑をほしげ也」の『猿蓑』にある芭蕉の句。
他にも「(宝井)其角」「晋子(其角の別号)」の名もある。
【刊期等】CiNiiの記事により補足。
曲亭馬琴
文化五(1808)年戌辰冬十一月吉日發販
江戸綉梓書肆 江戸橋四日市 松本平□
深川森下町 榎本摠右衛門 榎本平吉
※全体的に、経年によるくすみ、汚れあり。
※経年による紙の劣化、変色、斑点状の染み、多数あり。
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