カルメン(セシリア・ロス)42歳。
美しく有能な彼女は、冷たく心を閉ざしたまま、故郷から遠く離れたマドリードにたった一人で住んでいたが、アルゼンチン貴族の父の財産分与のため、20年ぶりに故郷のブエノスアイレスに帰ってきた。
長い孤独な年月がカルメンを心の冷たい人間に変えていた。
1976年、アルゼンチンで起きた軍事クーデターがカルメンの全てを奪ったのだ…
ジャーナリストの夫も心も。突然の逮捕、1年間にも及ぶ暗い独房での過酷な拷問。
軍に解放されたカルメンは国を捨てた。
それからずっと、カルメンの心は人を愛することを忘れ、肉体的にも人と触れ合うことができなくなった。
しかも拷問の恐怖が与えた異常に敏感な聴覚はカルメンを絶え間なく苛み続けてきた。
2週間の滞在のためにカルメンは家族に秘密でアパートを借りた。
雇った男女の愛の営みを壁越しに隣室で聞くために…。
それが、カルメンの得ることができる唯一の性的な悦びだった。
依頼の電話をかけた瞬間に耳に飛び込んだ男の声。
初めて聞く若い男の声にカルメンはかつてない感覚に陥り、震えた。
その声の主グスタボ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が女性と連れ立ってやてきた夜、カルメンはグスタボに告げる。
「今度は一人で来て」次の夜から、カルメンはグスタボに本を読ませた。
壁越しにつむがれる甘く淫らな言葉がかつてないほどカルメンの情熱をかきたて、他人を拒絶して生きてきたカルメンの心を揺り動かす。グスタボもまたカルメンのミステリアスな言動に心落ち着かなくなっていた。
年若く、名門の軍事系に生まれ、全てに恵まれていたグスタボだったが、何故かカルメンの孤独感に深い共鳴を覚えるのだった。
全く異なる境遇の二人は、どうしようもなく惹かれあっていく。
しかし若いグスタボにはこの顔を合わせない不自然な関係にこれ以上耐えられなかった。
約束を破って姿を現わしたグスタボは、動揺したカルメンに酷い言葉を浴びせられ、傷ついてアパートを飛び出した。
カルメンもまた深く傷ついていた。
帰国前夜、アパートを引き払う手配をしているカルメンに電話がかかった。
カルメンを探してアパートの外にやってきたグスタボからだった。
雨に降られながらグスタボは必死で語りかけた。「なぜ君に触れるのも見るのもダメなんだ。
僕は夢中なんだ」熱い純粋な思いがカルメンの心の壁を打ち崩す。そして二人の心はついに結ばれた。
カルメンは渡欧を延期した。
20も年若いグスタボに愛され、守られる甘美な生活が傷ついた心を癒す。
自分を守るための孤独な殻を捨てたカルメンは、人を愛する喜びを取り戻した。
だが、愛し合いながらも過去に怯える二人の行く末には、さらに残酷な影が潜んでいた。
ガエル・ガルシア・ベルナル, セシリア・ロス
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