本商品はアナログ・マスターテープの音声をほぼ無加工でデジタル化したものです。そのため、原則として、超低域のカットはおろか、音を聴きやすくするためのイコライジングやマスターテープに起因するノイズカットおよびドロップアウト等の補正処理を行なっていません。これは限られた制作関係者のみが聴くことが可能だったマスターテープの音をできる限り忠実にオーディオファイルの元にお届けしたい、という商品企画に基づくものです。
●ジョン・カルショーの情熱が創り上げた「舞台では実現不可能な理想のオペラ上演」
英国デッカ・レコードが、ショルティ指揮するウィーンフィル、そして選び抜かれたワーグナー歌手らとともに、1958年~1965年にかけて行なった、「リング」のステレオ全曲録音プロジェクト。演奏者に直接触れられそうなほどの生々しさが、豊かな空間ハーモニーのもとに実現し、最高度の臨場感をもたらす。
■ディスク、パッケージ仕様
今回のディスク形態はシングルレイヤーSACD(通常のCDプレーヤーでは再生不可/ステレオ音声のみ収録)のみの仕様で、追加プレスのない完全限定生産盤となります。ジャケットはLPサイズ大の特殊パッケージ仕様となっており、同サイズの付属ブックレットは、歌詞・対訳はもちろんのこと、ジョン・カルショーによる初レコーディングについての序文、さらには渡辺護氏による詳細な楽曲解説(LPからの転載)、加えて小林利之氏と長谷川勝英氏による演奏者紹介等も掲載した、総ページ数が50を超える豪華版です。
■SACDに用いたマスターテープ
SACDに採用したマスターは、ユニバーサルミュージックによってテープ保管庫から発掘された緊急用のセイフティ・アナログ・マスターテープです。これは1970年代に英国デッカから当時の輸入元であったキングレコードに提供されたもので、文字通りLPレコード・プレス用のメタルマスターに不備があった場合に備えての緊急用として、1/4幅のオリジナル・アナログ・マスターテープから一対一のダビングによってつくられたものでした。ただ、緊急用ということもあり、今日ではその行方は記録に残されておらず、幻とも呼ばれる存在となっていました。それが、日本のユニバーサルミュージックの執念とも呼べる調査の末、ついに発見されて、デッカ本国からSACD化に対しての正式許諾を得ることができたのです。
現在、デッカ本国が「ニーベルングの指環」のマスターとしているのは、通称《ジェイムズ・ロック・リマスター》と呼ばれる、エンジニアのジェイムズ・ロックによってノイズカットやイコライジング処理の施されたデジタルマスター(PCM)です。オリジナル・アナログ・マスターテープがその傷み具合から使える状態にないことから(と言われています)、1997年以降に正規発売されたデジタルディスクおよびデジタルファイルは、ただひとつの例外もなく、すべてこのジェイムズ・ロック・リマスターが元となっています。そのため、本作はこのリマスタリング処理が施される前段階の貴重なマスター音源を元にデジタル化を行なった、世界初にして唯一のSACDとなります。
■フラットトランスファーでDSD化
SACDのためのデジタル化作業を行なったのは、日本コロムビアのマスタリング・スタジオ。日本が誇る名匠、武沢茂氏によって入念に調整されたスチューダーのA820デッキによって再生したアナログ・マスターテープの音声を、フラットトランスファーで2.8MHzのDSD信号(SACDのデジタル規格)に変換しました。DSD化に用いた機材は、マージング・テクノロジーズ社のピラミックス・システムです。エソテリックのマスタークロック・ジェネレーターG01Xを使用しての厳格なクロック管理やデジタル/アナログ・ケーブル、ACコード等を含めたシステム全体のチューニングを行なって、アナログ・マスターテープの音声を忠実にDSD化することを目指しました。
リサイクル材を使用させていただきます。