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真景累ケ淵 /真景累ヶ淵


三遊亭円朝 口述
小相英太郎 筆記


月岡芳年（大蘇芳年）挿絵入 多数入

井上勝五郎（薫志堂）
明治21年（1888）5 月刊 初版
ボール表紙
四六判
343p （最終頁は343表記だが、途中ノンブル飛ばしの誤植がある。実際は307から次頁に328と誤植され、そのまま最終頁が343頁になっている。本来は307の次頁308となり、323頁で完。　落丁無しの通し完結。
国立国会図書館 近代デジタルライブラリーの表記も最終頁を疑いなくそのまま表記している。
丁繰りをしていれば正せたことである。）


ボール表紙
石版画表紙・美人画
小口マーブル紙

背欠
両見返し紙貼り補修
最終頁破れ（裏は奥付）
細かいシワ・キレなどあるも通読には影響ないと見られます。
背欠ながら綴じのバラケはありません。





明治に入って自作自演の「牡丹燈籠」「真景累ケ淵」などを創作。「怪談牡丹燈籠」等の速記本を出版し、明治の言文一致体に大きな影響を与えた。
1859年（安政6年）の作。初代三遊亭圓朝の最初の創作ものといわれる


『真景累ヶ淵』

あらすじ
根津の針医皆川宗悦は、貸金の取り立てのことから小日向の旗本深見新左衛門に殺される。
新左衛門は宗悦の亡霊と間違って妻を殺し、家は改易となる。
深見の実子新五郎と新吉はそれぞれ宗悦の次女お園、長女で富本の師匠豊志賀との因縁が生まれる。
新吉は豊志賀と恋仲だったが、豊志賀は羽生屋の娘お久への嫉妬から死を遂げ、女房を持てば七人までとり殺すと遺言。
新吉はお久と下総羽生村に落ち延びるが、豊志賀の霊に悩まされ、お久を殺す。
新吉は村でお累、お賎といった女性達と出会い、殺人の罪を重ねる。このことに羽生村名主惣次郎家の仇討ち話がからむ。
「累かさね」ものの怪談は古くから伝えられており、下総国羽生村に住む累が、夫与右衛門に殺され、与右衛門の六人目の妻が生んだ娘の菊に取り憑くが、祐天上人の力で成仏するという説話がある。
円朝は説話を取り入れつつ安政 6 年（1859）21 歳の時に本作を創作し、その後も練り上げた。
最初は道具を用いた芝居噺であったという。
明治になってから取られた速記の冒頭部分「幽霊と云ふものは無い、全く神経病だと云ふ事に成りましたから、怪談は開化先生方はお嫌ひ成被なさる事で御坐います」とのくだりは有名である。本作の「真景」には「神経」をきかせている。
しかし冒頭部分を読み進めると、円朝は幽霊話を否定しきっているわけではないこともわかる。



初代三遊亭圓朝の最初の創作ものといわれる
『真景累ヶ淵』速記本。
イタミ本ながら現況入手困難な稀本。
ジャパンモダンホラーのルーツとなる円朝の代表作を
ぜひお手にしてください。