基本情報|Release Information
■ レーベル:Victor
■ 品番:SF-10056
■ フォーマット:LP, Album, Stereo, Promo
■ 国:Japan
■ リリース年:1976年
■ タグ:Psychedelic Rock, Experimental, Ethnomusicology, Japanese 1970s, Ritualistic, Studio Work
作品の解読|Decoding the Work
金箔のジャケットに封じられた音の記録は、単なるレコードではない。それは、聴く者の身体と精神の深部に通じるトランス回路を呼び覚ます、音響による「儀礼」そのものである。芸能山城組のデビュー作『恐山/銅之剣舞』は、指揮者・山城祥二の下、声と肉体と電子機器が一体化し、世界の多元的音文化を日本的身体性で呑み込んだ異形のサウンドアクションである。
A面「恐山」は、井上堯之、大野克夫らによる重厚なバンドサウンドを基盤に、三途の川を渡る亡霊たちの咆哮のような合唱が炸裂する一篇の地獄絵巻である。渡辺宙明の楽曲構造は、特撮サウンドのスケール感を持ちながらも、合唱が一貫して音響の中心に配置されることで、ロックでも劇伴でもない、独自の音楽的軌道を描き出している。
B面「銅之剣舞」は、バリ島のケチャを下敷きに、声明や和太鼓、呪的な唱和を融合させた“日本製トランス・ミュージック”の最初期事例とすら呼べる構成を持つ。リズムは声のみによって構成され、その反復と切断が聴取の知覚をズラし続ける。ケチャの「チャッ」という断続的な声と、日本の祝詞的抑揚が絡み合い、文化の位相が交錯する未明の磁場を生み出している。山城はここで「他者の音楽」を単に引用するのではなく、それを身体化し、集団の呼吸として再構成する。これが芸能山城組の核心である。
このプロモ盤は、白ラベル見本仕様・金箔ジャケット・帯・インサート完備の完品であり、同時代における小泉文夫、中村とうようらの民俗音楽再発見運動とも呼応する実験精神の具現でもある。音楽/儀式/記録の境界を破壊するこの作品は、ジャンルで測れぬ"音の民俗誌"であり、日本のアヴァンギャルドが世界の音に接続する一つの到達点として、今なお異様な輝きを放っている。
芸能山城組の《恐山/銅之剣舞》は、単なるエスニック・ロックや民俗音楽の再構成ではない。それはむしろ、日本の宗教的声楽=「声明(Shomyo)」の音響構造を、ポスト・ミニマル以後の音楽認識へと架橋する異種交配体である。
A面「恐山」における重層的合唱は、旋律性というより**音のトポロジー(音響の地形)として存在している。ここでは仏教声明の節回し(ku)**に通じる、持続と抑揚、呼吸単位の制御がなされつつも、そこにエレクトリック・ギターとドラムが割り込むことで、伝統音楽がポリフォニックにズラされ、声と電気の交差が空間に裂け目を生む。これはLa Monte YoungやTerry Rileyの探求に共鳴しつつも、よりアニミズム的で、身体的である。
B面「銅之剣舞」は、さらにラディカルだ。ケチャを基軸にした声の反復と群動的構造は、Steve Reichの《Drumming》や《Music for 18 Musicians》とも形式的親近性を持つ。だが芸能山城組は「拍」ではなく、「祝詞」「詠唱」「呪詞」をベースとした非西洋的ミニマリズムを構築している。その声は、時間の直線性を拒み、循環しながら変容する宗教的音響のドローンとして機能する。
さらに注目すべきは、これらの演奏が「曲」ではなく、空間と場の生成を指向したサウンド・インスタレーション的性質を帯びている点である。それぞれのトラックは内在する形式を持つが、全体としては一種の「聴覚的環境=音場」を構成し、儀礼的時間を創出する。これは今日のサウンドアートにおけるsite-specificな音の持続性や、Janet CardiffやRyoji Ikeda的な音響彫刻的手法にも接続可能である。
つまり、《恐山/銅之剣舞》は、
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声=儀礼=記憶
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ノン・ビートの反復構造=ミニマル以後の時間感覚
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音響の空間化=インスタレーション的形式
という三層の交点に位置するハイブリッドな音の儀式である。
それは「聴く」ことを通じて、文化を編み直すための非ジャンル的モデルとして、今なお先鋭的な輝きを放っている。
状態詳細|Condition Overview
メディア:NM(極美品)
ジャケット:NM(極美品)
付属品:帯、インサート付属(白ラベル・見本盤仕様)
支払と配送|Payment & Shipping
発送:匿名配送(おてがる配送ゆうパック80サイズ)
支払:!かんたん決済(落札後5日以内)
注意事項:中古盤の特性上、微細なスレや経年変化にご理解ある方のみご入札ください。完璧な状態をお求めの方はご遠慮ください。重大な破損を除き、ノークレーム・ノーリターンにてお願いいたします。