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現代教養文庫●菊と刀 - 日本文化の型(ルース・フルトン・ベネディクト/長谷川松治) 2002 社会思想社
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●緊急のお知らせがある場合がありますので、必ず自己紹介欄をお読みください
●中古。下辺一部に小キズあり。古書相応の経年変化(ヤケ、スレ、カビあとなど)があり、新本の状態ではありません。製本のイタミ、破損ページ、書込みなどにつきましては極力点検しておりますが、見落としあればご容赦ください。
●2002年版。発売時定価~600+税円
●外国人による日本論の古典。超ロングセラー。 菊の優美と刀の殺伐……。 日本人の複雑な性格を見事に浮彫りにした名著。日本人の行動とそれらの行動の背景にある、日本人の基本的な考え方、性格を見事に探り当てた第一級の日本論。キリスト教の「罪の文化」に対し、日本は「恥の文化」と説く。  感謝のことば  日本で生まれ、あるいは日本で教育を受けて、戦時中アメリカに住んでいた日本の人たちは、非常に困難な立場に置かれていた。彼らは多くのアメリカ人から疑いの眼で見られた。そこで私は、この書物の資料を集めていた当時、彼らの助力と厚意を受けたことを証言することに、特別の喜びを感ずるのである。私はこれらの日本人に格別の謝意を表さねばならない。とりわけ感謝したいのは、戦争中私の同僚であったロバート・ハシマである。この人はこの国で生まれ、日本で育ったのであるが、一九四一年にアメリカヘ戻ってきた。彼は戦時外国人隔離収容所に抑留された。その後アメリカ軍機関に勤務するために彼がワシントンに出てきたおりに、私は彼に会ったのである。  私はまた、本書においてその報告をする課題を私に与えて下さった戦時情報局、とりわけ極東部次長ジョージ・イー・ティラー教授と、当時、外国戦意調査課長をしておられた米国海軍予備軍軍医部のアレグザンダー・エイチ・レイトン中佐に謝意を表さねばならない。  本書の全部、またはその一部を読んで下さった、レイトン中佐、クライド・クラックホーン教授、及びネイサン・リーツ博士――以上はいずれも私が日本のことを研究していた当時、戦時情報局におられた方々で、いろいろな点で援助していただいた――、それからコンラッド・エァレンズバーグ教授、マーガレット・ミード博士、グレゴリ・ベイトスン、イー・エイチ・ノーマンの諸氏にもお礼を申し上げたい。これらの人びとからかずかずの示唆や援助を受けたことを感謝する。   ルース・ベネディクト ---------------------------------------------------------------------------------------------- 原著者略歴 ルース・ベネディクト夫人 1887年6月5日ニューヨーク市生まれ。 1909年ヴァッサー・コレッジを卒業し、B・A・の称号を得た。 その翌年1カ年間ヨーロッパに遊学。 スウィス、ドイツ、イタリア、イギリスなどでそれぞれの国民の家庭の中で生活し、その風俗習慣を非常な興味を持って観察した。 帰国後数年間、カリフォルニア州のある女学校で教鞭を取り、英語を教えた。 1914年にニューヨークに帰り、生物学者スタンレイ・R・ベネディクト博士と結婚した。 ベネディクトが初めて世人の注意をひいたのは、詩人としてアン・シングルトンのペンネームであった。 1919年コロンビア大学入学フランツ・ボアズ教授の指導のもとに人類学の研究を始める。 1923年コロンビア大学卒業と同時にPh・D・の学位を取り、その後8年間は講師および助教授として、1930年以後は客員教授として引き続き同大学に留まって研究と学生の指導に当たってきた。 1936年ボアズ教授引退後1939年まで同大学の人類学科長事務取扱いの任に当たった。 1948年9月17日ニューヨークで、冠状動脈血栓で死去。 ----------------------------------------------------------------------------------------------    目 次   第一章  研究課題――日本   第二章  戦争中の日本人   第三章  「各々其ノ所ヲ得」   第四章  明治維新   第五章  過去と世間に負目を負う者   第六章  万分の一の恩返し   第七章  「義理ほどつらいものはない」   第八章  汚名をすすぐ   第九章  人情の世界   第十章  徳のジレンマ   第十一章 修養   第十二章 子供は学ぶ   第十三章 降服後の日本人    訳者後記 --------------------------------------------------------------------------------  改版に寄せて 本書が最初にB6判上下二冊の単行本の形で出たのは、昭和二十三年のことだった。その後、二十六年に文庫版に組替えになったが、この間まる十八年、ずっと読者が跡を絶たず続いている。一冊の本がこんなに長いあいだ売れているということは、戦後のわが国の出版界では異例の現象であって、本書がいまやほとんど古典的な地位を確立した証拠と見てよいかもしれない。特に訳者にとって関心が深いのは、初版出版以後に生まれ、戦争の経験はもちろんのこと、敗戦直後の混迷と悲惨の記憶の全然ない若い人びとのあいだで、本書がひき続き読まれていることである。これらの若い読者に、本書はどのような感想をもって受け取られているのだろうか。  このたび、久しぶりに版を改め、ふたたび単行本を出すことになったので、その機会にあらためて全体を見直し、筆を加えさせてもらうことにした。前々から気になっていた二、三の誤訳個所――その中には、ありがたいことに、未知の高校生の方からの指摘によって気づいたものも含まれている――を訂正したほか、文庫版への組替えの過程で生じた印刷上のミスや、かなづかいの混乱等を改め、より完全なものにしたつもりである。  この十八年間にわれわれを取り巻く環境に生じた変化は、信じられないくらいに大きかった。初版の出た当時、“文化国家"というむなしい理想が掲げられていたけれども、依然として国民は敗戦のショックと生活の困窮に打ちのめされ、日本の文化と歴史への自信を完全に失っていた。占領軍の監視の目をはばかるということのほかに、日本人自身の間に意識的に過去を抹殺しようとする傾向があった。そこで――翻訳の仕事に没頭していたころの一挿話を挙げれば――本書の中に引かれている戦前戦中の日本側資料の原物を見つけ出すのに思わぬ苦労をさせられた。忠犬ハチ公の話の出ている修身教科書をいくらさがしても見つからず、やっと荒川区にある、さる教科書会社の倉庫の隅に一冊保存されているのを探り当てたというようなことがあった。  このような一般的な風潮を背景にして出た本書は、なによりもまず過去の日本文化の批判として受け取られたように思う。訳者自身の気持もそのとおりであった。 しかし、いまは事情は一変している。奇跡的な経済復興に支えられて、いわゆる“安定ムード"がみなぎり、日本の文化と歴史への関心と自信がよみがえりつつあるように思われる。悔恨の情にさいなまれ、世界の前に身を小さくする代りに、反対に、西欧のヒューマニズムの限界を指摘する論が現われたりする今日の状況である。いまこそかえって、本書が正しく、その本来の価値において評価される時であると思う。  本書は、日本人の外面的な行動の描写と、それらの行動の背後にある日本人の基本的な考え方――日本文化のパターン――の分析とから成っており、そして外面的な生活の変化にもかかわらず、ある民族の文化のパターンはなかなか変化するものではない、という文化人類学的信念によって貫かれている。西欧の、善と悪、精神と物質の二元対立観の伝統の上に立ち、この書の中でも、“罪の文化"と“恥の文化"、義務の世界と人情の世界、恩と義務、さらに“ギム"と“ギリ"の対比というふうに、二分法的思考を分析の主要武器として用いている著者が、どこまで日本人の価値観の体系を探り当てることに成功しているか、という所に関心の焦点が置かれるはずである。……  一九六六年十二月    訳 者 ---------------------------------------------------------------------------------------------- 訳者略歴 長谷川松治(はせがわ まつじ) 1911年 奈良県に生まれる 1936年 東北大学法文学部卒業     東北大学名誉教授、東北学院大学名誉教授などを歴任 1998年 死去 《訳書》A・トインビー『歴史の研究』     H・コーン『民族的使命』他
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