アメリカ系ヴィンテージオーディオの販売をしていた日本のWestern Sound Inc.が、米国Essex Wire社製と推測される音声用トランスSS170-142を使って組み上げたステレオ用MCステップアップトランスです。片チャンネル音が出ず、の中古を購入し、内部配線を修復して使っていました。
私の購入時から片側のトランスの円筒形の金属シールドケースが少しぐらついていました。きちんと分解して整備すれば治るのだろうとは思いますが、音を聞くのに支障がないのでそのままにしてあります。ご承知おきください。
Essex Wire社は1930年頃の創業、元々はトランスの巻線の専門メーカーで、後に産業用・通信用・軍用などさまざまな用途向けのトランスを製造していたようです。同社のトランスは広帯域で低歪であることを特徴とし、音声帯域用のトランスについてはUTC、Peerless、Triadあたりと競合していたようです。
本出品のトランス、SS170-142は、1970年代に同社のペンシルベニア州の工場で、通信機器の音声回路用に製造されたものと推測できます。
仕様はほとんど不明ですが、1次DCRはフォノ用ステップアップトランスとして有名なHaufe社のT890(別途出品させて頂いております)に近い値であり、適合するMCカートリッジのインピーダンスの目安は40Ω以下とお考えください。聴感上のゲインはT890よりも高く、FRのFRT-3のMC-HIGHポジションと同程度です。
筐体にはIN/OUTの表示がありませんが、アース線の端子が出ている方が入力となります。
私の環境ではこのトランス筐体のアース端子にプレーヤーからのアース線とフォノイコへのアース線を繋いでほぼ問題ありませんでしたが、トランスの筐体を浮かせた方がいい結果が得られる場合もあります。
音質は主観的な話になるので話半分に聞いていただきたいのですが、FRT-3と比べると何かちょっと派手です。湿り気がありません。私に先入観がある可能性が大ですが、アメリカンな開放感が感じられます。
朝6時に会議室のベーグルと共に始まった仕事がまだ明るいうちに終わり、助手席にラップトップPCを放り投げ、目の前に広がる地平線を見ながら乾いた空気の中で車の窓を開け放し(レンタカーだけど)、ラジオから流れるサッチモを聴きながらうちに帰る(ホテルだけど)。そんな2,30年前のアメリカ出張を思い起こさせてくれる音です。
このトランスはいわゆる高インピーダンスのMCカートリッジ用ということになりますが、オルトフォンMC20あたりをつないでもいい音がします。インピーダンスの低いカートリッジの出力を高めのインピーダンスで受けると、理論上は、誘導ノイズ面で不利になる、電磁制動の効き方が変わり周波数特性が変わる、カートリッジコイルのインダクタンスの周波数依存性を吸収できなくなる、などが考えられはします。が、個人的には、そういった設計的にわかりやすい理屈による音質の変化よりも、線材やコア材、巻き方、シールドの仕方、など実装面の違いの方が音質により大きな影響を与えるのでは、などと思っています。
写真をよくご覧いただき、よろしくご検討ください。
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